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世界初「ウォークスルー自由視点映像VODシステム」の開発
2008年 6月24日
(株)KDDI研究所
KDDI研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:秋葉 重幸)は、ウォークスルー自由視点映像をネットワーク経由で視聴できる実証システムを世界に先駆けて開発しました。
KDDI研究所は、自由視点映像をIPTVのアドバンストサービスとして一般視聴者へ提供する方式の検討を進めてきました。このたび、映像配信サービスを実現する上で必要となる、映像サーバ(VODサーバ)と映像受信・再生ソフト(VODクライアント)を開発しました。これにより、視聴者は映像受信・再生ソフトを使って、遠隔地にある映像サーバに格納された映像を好きな視点から視聴するVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスを受けられるようになります。
自由視点映像は、複数のカメラで情景を撮影し、実際にはカメラで撮影していない視点などの任意な視点の映像を合成する技術です。国技館やサッカースタジアムなどの映像を家庭に配信し、視聴者は、ビデオカメラが設置できない相撲の行司の視点やサッカー選手の視点を選択することができるようになります。さらに、視聴者自身がサッカー選手になったかのように、選手の間で動き回るような躍動感のある映像(ウォークスルー映像)表現も可能となります。
KDDI研究所では、独自技術である広い空間の分割とその映像合成を最適に組み合わせた「シリンダー空間分割法」と伝送技術を組み合わせて、ネットワーク経由で自由視点映像を再生するシステムを世界に先駆けて開発しました。このシステムでは、サーバに自由視点映像を保存し、再生端末から指定された視点と開始時刻にしたがい、自由視点映像をサーバで画像化した上で、ネットワーク経由で配信します。これにより、視聴者は、サーバに保存されている自由視点映像を通常のビデオ・オン・デマンドと同じように視聴できるようになります。映像合成はサーバ側で行い、モーションJPEG画像として配信するため、再生端末には特別な画像合成機能は必要ありませんので、広い用途に普及すると期待されます。
KDDI研究所は、今後、広域ネットワーク経由での実証試験を行い、品質やユーザビリティ等の試験データを取得し、次世代IPTVとして通信網を利用した新しい映像サービスとして実用化を目指す予定です。また、超臨場感コミュニケーションの観点から、自由視点映像を応用した3次元映像表現に関しても独立行政法人情報通信研究機構(NICT)/国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と協力して評価を進めていきます。
なお、KDDI研究所では、自由視点映像を伝送するシステムの一般的な構成に関して、国際標準化組織のITU-Tにおいて国際標準化活動を推進した結果、同システムが2008年5月のITU-T SG9会合において承認され、新勧告J.901として国際標準になりました。
(参考)
ITU-Tは国際連合の下部組織で、通信に関わる国際標準化を行う国際団体です。本部はスイスのジュネーブにあり、定期的に会合が開催され、世界各国の代表団が参加します。会合において、合意の得られた国際標準技術が文書として出版され、世界各国にて参照されることになります。
ITU-T SG9は、ITU-T内の一部門で、テレビ向けのネットワーク映像伝送技術等の標準化を行う国際組織です。KDDI研究所は、2006年にITU-T SG9東京会合において、自由視点映像伝送システムの勧告化を提案し、勧告草案の提出と会合での議論を行ってきました。このたび、2008年5月にジュネーブで開催された第6回SG9会合での審議を経て、6月12日に正式に勧告となりました。
この標準化活動は、総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)における「自由視点映像伝送方式に関する国際標準技術の研究」として、名古屋大学と共同で実施したものです。