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SDN/NFV時代の運用自動化の実証に成功

2015年5月26日
株式会社KDDI研究所

 株式会社KDDI研究所(代表取締役所長:中島 康之)は、日本ヒューレット・パッカード株式会社(代表取締役 社長執行役員:吉田 仁志)、シスコシステムズ合同会社(代表執行役員社長:鈴木 みゆき)、ノキアソリューションズ&ネットワークス株式会社(代表取締役社長:ユハ ペッカ タカラ)、テックマヒンドラリミテッド(代表:アミタバ ゴッシュ)、日本電気株式会社(代表取締役 執行役員社長:遠藤 信博)と協力して、移動体設備に加えて固定系設備も仮想化したテストベッドを構築し、本テストベッド上で運用フローの完全自動化の実証に、世界で初めて成功しました。さらに、アファームド・ネットワークス(CEO:ハッサン アハメド)による仮想化設備や、ウインドリバー株式会社(代表取締役社長:藤吉 実知和)による仮想化基盤ソフトウェアも加え、SDN/NFV時代の運用高度化実現に向けて、総合実証実験や標準化に向けた活動を推進しています。

 上記、運用自動化に関する成果の一部は、本年6月1日からフランスのニースで開催される「TMForum Live!」、および、同年6月10日から日本の幕張で開催される「Interop Tokyo 2015 SDI ShowCase」にて展示します。 このようなSDN/NFV技術を活用した取り組みを通じて、多様化するサービス要件への柔軟な対応と、運用品質の向上の両立を図り、第5世代モバイルインフラの実現に貢献します。

 

1.背景にある課題

 従来の通信設備は、ルータや交換機などハードウェアと機能が一体化した専用装置の形が取られてきました。近年では、汎用サーバが高性能化して通信設備のハードウェアとして使われ始め、さらには汎用サーバで広く用いられている仮想化技術*1を適用した資源効率化も期待されています。特に、SDN*2やNFV*3といったネットワーク仮想化技術は、重要な設備の輻輳時、他設備の資源(処理能力)を迅速に融通して深刻な事態を回避するといった効果が期待されています。また、第5世代モバイルインフラ(5G)に向けては、IoT/M2M*4、医療サービスなど多様化する要件を満足するために、ネットワーク仮想化による柔軟性の獲得が不可欠となります。 一方、通信設備を対象とした仮想化技術は途上段階にあり、以下の問題が大きな技術課題です。

 

Ⅰ. (複雑性)設備の機能がソフトウェア化し、ハードウェア部分との構成分離が進むことによる、異常箇所やその影響範囲の特定、復旧プラン策定といった運用フローの複雑化

Ⅱ. (異種性)移動体設備と固定系設備など、従来は縦割りで管理されていた様々な設備を、横断的に仮想化するために必要となる管理手法が未成熟

III.  (信頼性)汎用サーバの信頼性が、必ずしもキャリアグレードに達していないケースあり

 

 このため、現状は移動体インフラのコア設備のみに仮想化の範囲を限定するような試みが非常に多いといえます。結果として、設備を汎用化しながらも従来型の管理手法に留まり、Ⅰ〜Ⅲの解決には至っておらず、また、資源融通可能な範囲も制限されるため、上述の輻輳時を想定した効果も制限されています。

 

2.今回の実証実験

(1) 概要

 移動体機能として各種EPC(Evolved Packet Core)*5機能、固定系機能としてCPE(Customer Premises Equipment)*6、その他機能としてファイアウォールといった共通系の機能を、汎用サーバなどからなる仮想化基盤上でソフトウェア化し、横断的に管理制御するテストベッドを構築しました(図1)。その上で、ソフトウェア化された機能、あるいは、仮想化基盤の異常に対して、統合管理制御システムが自動的かつ即座に障害復旧することに、世界で初めて成功しました。

 

(2) 成果

 今回の成果は、前節で述べた課題Ⅰ〜Ⅲに対応したソリューションとなり、第5世代モバイルインフラ(5G)の実現に向けた大きな一歩となります。 統合管理制御システムは、障害影響の分析結果に基づいて、予めプログラムされた運用業務フローを起動し、フローに基づき復旧手順を自動実行します。

 

① 最適にプログラムされた業務フローの定義

② それに基づく各種機能の制御や警報授受を可能にする共通インタフェース

③ 全ての機能をピースとして組み合わせ可能とするためのモデル化

 

 以上の項目は、前節に述べた課題を解決する技術的なポイントです。

 上述の、様々なキャリア設備を対象としたネットワーク仮想化による運用自動化の実証は、世界で初めてとなる先駆的な成果です。

 

 

(3) 各社の役割

 本実証実験は、以下の役割で検証を進め、今後は下記以外の構成や機能についても検証を進める予定です。

 

 

3.今後の取り組み

 図1に示した技術的なポイント①、②についてはTMForumなどの運用管理システムの標準化団体へ、また、③についてはETSI NFVやOPNFVなどのネットワーク仮想化の標準化団体を通じて、ネットワーク仮想化による運用高度化の実現に貢献していきます。

 

 補足資料は、下記をご参照ください。

 

以上

 


<用語 解説>

*1 仮想化技術

 サーバやストレージといった計算機資源(処理能力や容量)を、用途に応じて切り出したり、切り出された資源同士を柔軟に組み合わせて必要とされる性能を満たしたりする技術です。なお、仮想化の対象を、ネットワーク資源(帯域や各種ネットワークの機能)に適用した技術を、特に、ネットワーク仮想化技術といいます。

 

*2 SDN

 Software Defined Networkの略です。ネットワーク資源をソフトウェアにより集中制御することで、構成変更や設定を柔軟かつ迅速に実現する技術です。

 

*3 NFV

 Network Function Virtualizationの略です。仮想化技術の一つで、特にルータ機能、ファイアウォール機能などネットワークを構成する各種機能を仮想化する技術です。

 

*4 IoT/M2M

 Internet of Things/Machine to Machineの略です。個別のセンサーや自動車など、「モノ」同士をネットワークで接続するなどして、遠隔から制御したり状態を確認したりする技術です。

 

*5 EPC

 Evolved Packet Coreの略です。パケットベースの移動通信システムを実現するための、ネットワーク制御機能やユーザデータを扱う機能などから構成される機能群です。

 

*6 CPE

 Customer Premises Equipmentの略です。ブロードバンドサービスや仮想専用線サービスなどにおいて、ユーザ宅内に設置する終端機能です。

 

*7 オーケストレータ

 ネットワーク機能やサーバ資源などを一元的に制御して仮想化をつかさどる管理システムです。これにより、要件に応じた機能や資源の配置や接続が実現されます。

 

*8 OSS

 Operation Support Systemの略です。ネットワークの状態を把握して、障害原因の切り分けや障害に応じた運用フロー(復旧プラン)実行などを行う管理システムです。

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